(2023年4月27日更新)
※2018年度の記事より最新版に更新。以前の記事は刷新しています。
「公務員の定年延長」は、2018年度より多くの議論がなされてきましたが、準備も進み、令和5年度より段階的に導入していくことが決まりました。
このページでは、公務員のクライアントを多数持つキャリアコーチの立場から考察してみたいと思います。
※ちなみに、2018年度は、この流れで具体的に進められてきました。
その時の記事。↓
「国家公務員の定年を60歳から65歳に段階的に引き上げる関連法改正案をめぐり、政府は18日、2020年度から引き上げを始める方向で検討に入った。」
18年の人事院による意見の申し出を受け、当初は21年度からの開始で調整していたが先送りする。国家公務員法などの改正案について、来年の通常国会への提出を目指す。
「2018年度のイメージ図」
公務員定年延長をキャリア視点で考えてみる:年代・志向により様々?
- 令和5年度より段階的に引き上げられる「国家公務員の定年延長」について
・定年年齢等
・勤務延長制度
・再任用制度
・段階的引き上げ期間中の生年別対象職員の定年制度と暫定再任用対象期間(表)
・地方公務員の定年延長はどうなるのか? - 公務員定年延長を今後のキャリアについて考察してみる
・安心している公務員は?
・あまり意に介していない公務員は?
・公務員を早く辞めたい人もいる
・これから公務員になる人の希望にはなる - 近年の公務員の定年までの退職状況
・近年の公務員の職種別退職・定年退職(人数) - 今後の傾向:定年まで働く公務員は増える?はたまた減る?
・キャリアコーチとして公務員と接する中で
・逆に民間企業は定年延長を考えてほしい
令和5年度より段階的に引き上げられる「国家公務員の定年延長」について
令和5年度以降の国家公務員の定年は、平成30年8月に人事院が国会及び内閣に対して行った意見の申出に基づいて令和3年6月に成立した「国家公務員法等の一部を改正する法律」(令和5年4月1日施行)により、段階的に65歳に引き上げられることとなっています。
定年年齢等
令和5年度以降の国家公務員の定年は、平成30年8月に人事院が国会及び内閣に対して行った意見の申出に基づいて令和3年6月に成立した「国家公務員法等の一部を改正する法律」(令和5年4月1日施行)により、段階的に65歳に引き上げられることとなっています。
勤務延長制度
定年の段階的引上げ開始後も、勤務延長制度は存置されます。
(ただし、役職定年の特例との調整規定あり)。
再任用制度
再任用制度は廃止されますが、定年の段階的な引上げ期間中は暫定的な措置として同じ制度が設けられます
(暫定再任用)。
段階的引き上げ期間中の生年別対象職員の定年制度と暫定再任用対象期間
※上記表は、人事院「定年後がもたらすもの」の表をもとに作成したものです。
(参照元:人事院「定年後がもたらすもの」
※ちなみに、昭和62年度生年以降の公務員は、そのまま自動的に65歳定年となります。
地方公務員の定年延長はどうなるのか?
通常、地方公務員は国家公務員(人事院)に倣うため、そのまま適用されます。
私のクライアントやご相談を受ける方は国家公務員、地方公務員の方がいますが、同じようです。
公務員定年延長を今後のキャリアについて考察してみる
ここからは、今後のキャリア構築「ネクストキャリア2.0、セカンドキャリア」の観点で公務員定年延長をどうとらえているか?を考察してみます。
なお、ここは私がクライアントを接する中で感じていることです。1つの考察としてお考え下さい。
安心している公務員は?
特に定年まで勤務する予定だった公務員は、その後のセカンドキャリアに悩んでいる方も多く、安心している方が多いのが想像されます。
特にマイホームローンを65歳まで組んでいる方は、安心していることだと思います。
あまり意に介していない公務員は?
私の公務員クライアントの方は、30代、40代、50代(早期退職)を目指し、起業や転職を考えている方が大半のため、今回の「公務員定年延長」は、あまり意に介していないようです。
また、20代、30代の若手公務員も実感をあまり持てないようです。
恐らく安心しているのは親御さんや奥様など配偶者かもしれません。
公務員を早く辞めたい人もいる
公務員を早く辞めたい人も数多くいます。
私にご相談してくる方もそうですが、当ブログ「ネクストキャリア2.0」の常に上位に来てるのが、
✅公務員辞めたい
✅公務員辞めたい50代
✅公務員辞めたい40代
などです。
理由は前向きなことやメンタル的なことが多いのですが、定年延長を自分とは関係ないと考えている方もとても多いようです。
これから公務員になる方の希望にはなると思う。
いま公務員を目指して頑張っている学生や社会人にとっては、とても良いニュースだと思います。
近年の公務員の定年までの退職状況
それでは、これまでの公務員の退職状況をグラフで見てみましょう。
定年退職された方が全体の56.2%です。普通退職は35.7%。(近年のデータです)
早期希望退職制度を使って退職された方もいます。
私が公務員の時(41歳の時)は、50歳以降のキャリアプランとして「早期退職制度の説明会」が行われていました。
これは今後も継続すると思われます。
近年の公務員の職種別退職・定年退職(人数)
この図は「公務員を退職された方の職種別人数」です。(年間)
定年延長は、この割合に影響はあまりないと思われます。(若干、定年退職は増えるかもしれません。)。
今後の傾向:定年まで働く公務員は増える?はたまた減る?
ここからは、今回の公務員定年延長で、定年まで働く公務員は増えるのか?減るのか?について考察してみます。
現在は働き方も多様化し、公務員のなり手が減ってきています。
また、30代、40代で退職される方も増えています。
キャリアコーチとして公務員と接する中で
私が公務員経験があることもあり、コーチングのクライアントやご相談いただく方は、公務員の方が多いです。
多くは、
✅起業したい。
✅民間企業に転職したい。
✅公務員という職種は自分の適性に合わない。
✅親が勧めたから公務員になった。
✅公務員後のセカンドキャリアの構築の仕方。
このような方が多いです。
もちろん、公務員をずっと続けたい方も多いと思います。
私がキャリアコーチなので、上記のようなキャリアチェンジのご相談がくるのですが、新卒からそのまま公務員になった方は、親のすすめ、教師の勧めなど、自分の適性や性格が公務員と合っているのか分からないままなってしまった。。。
こういう方が大半。特に20代~40代までの方に多いです。50代は開き直ってる?
キャリアチェンジや転職、起業のハードルが下がった現代では、公務員の定年延長が特に40代までの方に大きな影響を与えない可能性もあると思います。
逆に民間企業は定年延長を考えてほしい
公務員は民間企業のロールモデルという役割も担っています。
30代、40代、50代ですぐにリストラするような民間企業は、じっくり社員を育てて、定年延長も考えてみてほしいと思います。
公務員定年延長をキャリア視点で考えてみるまとめ
このページでは、令和5年度よりスタートした「公務員の定年延長の段階的引き上げ」について、キャリアコーチの視点で考察してみました。
働き方も多様化し、自分が公務員として向いているのか?このまま公務員としてやっていっていいのか?などの相談を数多く受ける中で、一概に定年延長だけで手放しで喜べることではないと思います。
昔みたいに公務員をずっとやっていくという方も激減しています。
また、公務員のなり手も減っています。
各々の適性をよく考えて、
✅公務員になりたい人にはポジティブな要素として
✅公務員からのキャリアチェンジをしたい方も考えるきっかけとして
✅民間企業も倣う形で
公務員の中にとどめる話題としてではなく、人生のキャリアデザインをよく考えるきっかけにしていただきたいと思います。
公務員から転職・起業まとめページ
ネクストキャリア2.0では、公務員から起業、公務員から民間企業に転職などのヒントになるページを用意しています。
公務員からキャリアチェンをお考えの方は、参考になさってください。
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